理想を掲げ自己実現に向けて日々頑張っている人は多いと思います。
しかしその一方で、一向に理想に近く気配がなく焦ったり、理想と現実のギャップに落胆して心が折れそうになりながら奮起している人がほとんどではないでしょうか。
そんな思いから「なんとなく生きづらい」と感じている人もいれば、決定的に生きづらさを抱えながら生きているなら、抜け出す方法を知っておいて損はないと思います。
私もそうでした。ずっと自己実現ばかり追い求め5年間も心理学に費やしてきましたが、空回りばかりしていました。
しかし人間の行動原理をシンプルに考えた時、それまでの空回りは終わり、ようやく歯車が回り始めたのです。
この記事ではそんなことをまとめています。
人間は欲求で意思決定している
人間とは?人生とは?を突き詰めてシンプルに考えると、欲求に正直になる事だと言えます。
なぜなら、人が行動を起こす意思決定は基本的に全て欲求に基づいているからです。
人間を含んだ動物は全て、快楽を求め、不快を避ける事が行動原理になっています。
なので、行動を起こす、起こさないのどちらも、無意識のうちに欲求に基づいているわけです。
「いやいや、人の行動原理はもっと複雑で難しいものだ」
という考えもあるかもしれませんが、人間も他の動物と同じく欲求を満たすために生きていると考えると、
とてもシンプルに考える事ができます。
人間の欲求を複雑にしているのは、他の動物と違っていくつかの段階に分かれているからです。
5段階欲求説とは?
「人間の欲求は5段階に分かれている」という話を聞いた事が一度はあるかも知れません。
今から50年以上前にアメリカのマズローという心理学者が唱えた説ですが、今でもこれが最も信頼できる考え方です。
人間の欲求は、「1. 生理的欲求」「2. 安全の欲求」「3. 社会的欲求」「4. 承認欲求」「5. 自己実現の欲求」と5段階に分かれているという考え方です。

一つ目の大切な考え方として、下から上に向かって基礎となり積み上がっていくということです。
なので、たとえば「1. 生理的欲求」が大きく欠乏している状態では「2. 安全の欲求」の層には上がれないということです。
私も含め、最上層の「5. 自己実現の欲求」ばかりを追い求めてしまいがちですが、
1→2→3→4の各層の大部分が満たされていなければ、自己実現は難しいということはとても重要な考え方です。
成長欲求と欠乏欲求
2つ目の大切な考え方として、最上層の「5. 自己実現の欲求」は成長欲求、それ以下の層は欠乏欲求だという事です。
成長欲求とは尽きることのない欲求、欠乏欲求はある程度満たされると自然と消えていく欲求です。
逆にいうと、欠乏欲求が満たされないとずっとその層にとどまって離してくれないのです。
欠乏欲求は「足りないと振り回される」、つまり行動のモチベーションが「満たされるため」なのです。
これが空回りの正体です。1〜4の層が満たされていないのに5の自己実現ばかりを求めるから、無意識に下層に引きづり戻されてしまうのです。
大枠の考え方がわかったところで、各層の欲求について見ていきましょう。
物質的な欠乏欲求
「1. 生理的欲求」
もっとも動物に近い本能的な欲求です。「食欲」「排泄欲」「性欲」など。
例えば「仕事が忙しすぎて食事やトイレもままならない」という状態の方は、動物としての本能的な欲求を押さえ込んでおりストレスもかなり大きい状態です。
自ずとその上の層にもいけません。すぐにでもこの状態は解消したいところです。
私も以前、仕事が全くできない時「飯なんて食べる時間があったら仕事しなきゃ」と思い込んでいました。
その考えの癖がその後何年間が抜けませんでした。
しかし、ご飯も睡眠もしっかり取れないことには、生産的な活動なんてできるはずがないんです。
そういう状態は異常であることを知るだけでも、大きな一歩と言えます。
ちなみにマズローによれば、80%ほど満たされればこの生理的欲求は解消され、上の層にいけるようです。
「2. 安全の欲求」
身体的・精神的・経済的に安定した生活を求める欲求です。
身体的、精神的にハードな仕事をされている方や、貧乏暇なし、ブラック企業勤め、いわゆる「社畜」の方もこの階層の欲求不満に陥っている可能性があります。
マズローによれば、75%ほど満たされれば解消され、上の層にいけるようです。
ここまでの2つの「物質的な欠乏欲求」は、今の日本人の多くは満たされている状態と言えます。
しかし貧困な家庭環境の方や先ほどのブラック企業勤めの方などは、ここで欲求不満に陥っている危険な状態と言えます。
まずはこの二つの物質的な欠乏欲求より上の層にいく事、生活を整えていく事が自己実現への最初のステップです。
精神的な欠乏欲求
一方、精神的な欠乏欲求は、今の日本人の8割以上が満たされていない状態です。
ここを満たす事が非常に大切で、また難しい部分でもあります。
まずはどういう欲求なのか、一緒に見ていきましょう。
「3. 社会的欲求」
人や社会と繋がりたい欲求です。帰属欲求、愛の欲求、親和性の欲求とも言われます。
人は孤独だと不安や虚無感を抱いてしまいます。本質的に他者と繋がっていたいという欲求を持っています。
これは人間関係に密接に関わる人間関係ですので、環境によって左右されやすいと言えます。
例えば、職場での人間関係や、恋人・家族との人間関係が悪化していくと「自分はこの会社や相手に必要とされていないのではないか?」という疑問、不安を抱くようになります。
そのネガティブな感情に確信を持つような出来事があると、さらにその感情を強化することになり、思い込みにまで発展してしまいます。
ストレスが非常にかかる状況になり、鬱状態を引き起こしたり、生活全般の生きづらさまで感じてしまうようになります。
コロナ禍で人との直接的なつながりを持ちづらくなった今では、さらに拍車をかけている危険性があります。
「4. 承認欲求」
他者から、もしくは自分で自分を認めて欲しいと思う欲求です。人は本質的に褒められたい、認められたいと願う生き物です。
この承認欲求には2種類あり、低次元の「4.0 他者からの承認」と高次元の「4.5 自己承認」があります。
「4.0 他者からの承認」とは、地位・名誉・注目・尊敬など他者からの高評価の上で成り立つものです。
最近ではSNSのいいねなども他者からの承認にあたります。
これが大きく欠乏している方は、満たされるために背伸びをしたり、自分の地位のために他人を利用することもあるでしょう。
一方で、より高次元の「4.5 自己承認」とは、他人の評価は関係がありません。
自分が自分を認めてあげている状態ですので、周りの状況に振り回されにくく、どんな状況でも自分への信頼感があるため、生きづらさは感じることがないと言えるでしょう。
周りに振り回されず、人生を掴むために大切なこと
周りの環境に左右されやすいのが「3. 社会的欲求」「4.0 他者からの承認」であるのに対し、
周りに左右されにくく自分軸であるのが「4.5 自己承認」と言えます。
逆にいうと、自己承認ができている人はどんな環境・逆境でも生きていく力が備わっています。
私の周りにいる自己実現できている人も、みんな自己承認ができているように思います。
精神的な欠乏欲求は常に影響しあっていて「卵が先か鶏が先か」のような話ですが、
環境が改善される事で「3. 社会的欲求」「4.0 他者からの承認」が満たされると、自ずと「4.5 自己承認」も満たされていくこともあれば、
先に「4.5 自己承認」を満たす努力によって同じ環境でも自身の考え方・捉え方が改善し、「3. 社会的欲求」「4.0 他者からの承認」が満たされていくという事があります。
理想的にはその両方が改善されていればいいですが、他人より自分を変える方が楽です。
なので先に「4.5 自己承認」をしていく事を私はオススメします。
自己承認を無意識レベルで身につければ最強です。自己実現に向けてエネルギーが自家発電してくれます。
しかし、いきなり自己承認を身につけようとすると逆効果を招く落とし穴が存在します。
正しい身につけ方については別の記事でまとめますね。
まとめ
地に足が付かず、高い目標ばかりを追い求めてしまうと、空回りしてしまいます。
そういう人は「理想は高く青天井、自己評価は低く底無し沼」という状態で、ひたすらエンジンを空吹かししているような状態です。
人間も他の動物と同じく「メシを食いくそをする」という存在です。
繰り返しになりますが、まずは人間としての生活を整え、物質的な欲求を満たしてあげることが何よりも大切です。
もしご自身の環境でどう考えても難しい場合は、環境を変えるなどして整える事も検討してみてください。
その上で、自己承認欲求を満たす努力をしていきましょう。
環境や他者に左右されやすい精神的な欠乏欲求はガチャ要素が大きいですが、自分軸を強くする方が時間はかかりますが確実です。
満たしてく過程では、一つ一つの積み上げを焦らない事が大切です。
ふと立ち止まり自分が焦っていることに気づいたら、一段飛ばししてしまっていると思いましょう。
焦らず積み上げれば、最初は遠かった理想もいつの間にか近くに感じられると思います。
私もまだまだ成長途中なので、一緒に楽しみながら頑張りましょう!